こんぺいとう
終戦後しばらくは、これから生きていていいのか悩み苦しんだ。
親友が、仲間が、アメリカ兵がたくさん死んでいったのに…自分だけ何故生きているのか分からなかった…

文子の顔を見ることも出来なかった…雄治を救えなかった事に罪悪感があったからだ。

雄治の弟も帰ってきていない。きっと戦死してしまったのだろう…私だけが生き残っている…

生きているだけで素晴らしい。そんな事はあの時代には思った事は無かったんだよ。

毎日を抜け殻のように過ごしているうちに、よく三人で歩いた河原に足が向いた。
桜の木にもたれて時間が流れるのを待った。夜が怖かったんだ。寝ようとすると戦地での記憶が頭を巡って爆発しそうになる…
この河原で朝が来るのを待っていたんだ。
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