我妻はかごの中の鳥
「ちょっといい…て、あれ?飯塚さんは?」

そういえばいない

「お昼に行ったんじゃないんですか?」

あんまり彼女(飯塚)と関わりたくなくて、そっけなくいう。

「そう…じゃなくて、電話。外線が来てる」

一応コンピューター関係を使い、個人情報を取り扱う会社なため、携帯はロッカーに仕舞うことになっている。

外からの電話は皆外線から。

瑠璃にも緊急の際はそう言ってあるのだが。

滅多にそんなことはない。

珍しいなと思いつつ、「どこからですか?」と聞いてみる。


「男性で、あなたの家から」


「…?」

伊織?

まさか、瑠璃の風邪がひどくなったとかじゃ…


「今すぐお願いしますっ」

「わかったわ」


かちゃ、とデスクの受話器を握る。

回ってきた電話を取った。


『もしもし!』

「どうしたの伊織?」

想像通りの間延びした声が緊迫していて、少し怖い。
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