嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!

「・・・暑い」

「開口一番それかぃ?そりゃねぇぜ~」


 眉間にしわを寄せたざるそばが言うと、うどんは苦笑しながらそう言った。


「まぁ、実際暑いからね」


 今は夏。

 着物に身を包んだそばが、ぱたぱたと手で扇ぎながら歩く。

 うどんは着物の袖をグイッと肩まで捲し上げている。


「にしても、なぜこうも日本の夏は暑いかね~」


 伸びをしながらうどんが言う。


「今更だろう。そんなこと。・・・というか、おれがさっき言った。それ」


 苦虫を噛み潰したような顔で、ざるそばが言う。

 着流しの前を開けているざるそばの胸に、ツゥと一筋の汗が伝った。


「んで?一体、どこ行くんだよ」


 だるそうに首をぽきぽき鳴らしながら、ざるそばは二人に問うた。


「ん?」


 そばが、ニコリと微笑んだ。

 うどんはダダダッと駆けると、そば兄弟の方を向いて、両手を広げた。


「そうめんとこだ!!」

「・・・はぁ?!」

「元気かなぁ。そうめんくん」


 驚くざるそばをよそに、そばはフフッと微笑んだ。


< 3 / 84 >

この作品をシェア

pagetop