嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!
「・・・暑い」
「開口一番それかぃ?そりゃねぇぜ~」
眉間にしわを寄せたざるそばが言うと、うどんは苦笑しながらそう言った。
「まぁ、実際暑いからね」
今は夏。
着物に身を包んだそばが、ぱたぱたと手で扇ぎながら歩く。
うどんは着物の袖をグイッと肩まで捲し上げている。
「にしても、なぜこうも日本の夏は暑いかね~」
伸びをしながらうどんが言う。
「今更だろう。そんなこと。・・・というか、おれがさっき言った。それ」
苦虫を噛み潰したような顔で、ざるそばが言う。
着流しの前を開けているざるそばの胸に、ツゥと一筋の汗が伝った。
「んで?一体、どこ行くんだよ」
だるそうに首をぽきぽき鳴らしながら、ざるそばは二人に問うた。
「ん?」
そばが、ニコリと微笑んだ。
うどんはダダダッと駆けると、そば兄弟の方を向いて、両手を広げた。
「そうめんとこだ!!」
「・・・はぁ?!」
「元気かなぁ。そうめんくん」
驚くざるそばをよそに、そばはフフッと微笑んだ。