嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!

「おめえ、黙って聞いてりゃあ!」

「全くもって黙ってませんでしたよ、あなた。あ、もしかして、記憶が飛んでしまったとか、ですか。ああ、それは、実に残念なことですね」

「あ~あ。まーた始まったよー」

「ああ?!んだと、コラア!」

「そんなに大きな声出してたら、いつか声枯れますよ」

「あっ。しお、さり気に優しい・・・?」


 ギャイギャイ騒ぐとんこつと、気にも留めていないとでも言うかのように文庫本をペラペラと数ページめくり、スッとそれに視線を落とすしお。

 それを観戦するのは、しょうゆとみそだ。


「るっせぇ!!てめぇ、この前も俺んこと、『ポンコツ』っつったろうが!ああん?!」

「それ、さっきも聞きましたよ。何度も大きな声で言わなくても大丈夫なので、結構ですよ」

「だあれ!!間違いをする生き物なんだよ!!」

「え。それ、あんまし関係なくない?」


 しょうゆが小声でツッコむが、とんこつの耳には届かない。


「いいか?!そもそも、お前は一言多いんだよ!毎回毎回ぃ!言わなくてもいいことを、ボソボソ言いやがるから、腹立つんだよ!」

「ああ、そうでしたか。それはすいませんでした。以後気を付けますね、ぽんこつくん」

「あああんっ?!?!今、言ったよな、言ったよな?!ぜってー!」

「そうでしたか?記憶にありませんね」

「・・・なあ、これ、いつ終わるんだ?」

「知らない」


 頬杖をつくみそからの問いに、しょうゆは肩をすくめ、返事した。



 
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