嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!

とんこつくんとしおくん


「はぁ。キリがありませんね」

「ああ?!ケンカふっかけてきたのは、てめぇの方だろがあ!」

「は?そんなこと、あるわけないじゃないですか。この僕が?八ッ。そんなことありませんよ」

「あああんっ?!てめ、どんだけ自分ラブなんだよ!ナルシ野郎め!」

「キリがないとか言っときながら、まったく終わる気配が感じられないんですが。そこのところどう思いますか。みそ教授」

「ふぅむ~。そうじゃなぁ。とんこつはたんぱらじゃし、しおはしおで、とんこつちょして遊んどるでなあ。どっちもどっちじゃな~」

「え。方言連発するの、止めてもらえる?『たんぱら』って何よ。『ちょして』って何ね」

「『たんぱら』は『気が短い』。『ちょして』は『からかって』って意味」


 二人の騒ぐ声が一段と大きなる中、しょうゆとみそは北海道弁について話が盛り上がっていた。

 
「こらあ。最終下校時刻、もうすぐだぞー」

「あ、はい」

「んじゃ、帰るかねえ」


 教室のドアが開き、学年主任が首だけを四人がいる教室に突っ込み、声をかけた。

 それに反応したのは、しょうゆとみそのみ。只今絶賛ケンカ中の二人は、まだギャースカ騒いでいる。


「ほーらー。帰るよ、とんこつ、しお」


 バックを担ぎ、しょうゆが二人の背中をポスポス叩いて言う。


「そうですね」

「てめっ!!逃げんのか!ああん?!」

「そんなわけ」

「はいはい。もう、いたちごっこだからやめよーねー」


 ガタとイスから立ち上がったしおに、とんこつはガタンッと音を荒立て、イスから立ち上がった。売られたケンカは買うタイプなのか、しおの眉毛がピクリと上に吊り上がり、とんこつに反論しようと、机に両手をついたのとほぼ同時に、しょうゆが二人を止めに入った。


「チッ」

「チじゃないですー。ほら、ケンカしないー。帰るよー」


 とんこつの首根っこを掴み、しょうゆは教室を出た。

 それに続いて、みそ、しおが教室を出た。

< 45 / 84 >

この作品をシェア

pagetop