甘い時 〜囚われた心〜
出会い【桜華】
(めんどくさい…)

(なんで、いつも親父の仕事に、俺が付き合わなきゃならないんだ。)

「はぁ…」


ため息に反応するように、百合矢[父親]に睨まれた。

一人っ子で、長男で…

何不自由なく育てられた。

桜華の家は、不動産・貿易・IT関連など、様々な事業に手を出し、成功し、子会社をいくつも持ち、事業を拡大させていた。

元は、代々続く、不動産会社だったが、祖父の時代から、多方面までに、手を伸ばし始めたのだ。


長男だからと、小学生の時から、何かと社会勉強という名のもと、百合矢の開く食事会やパーティーに借り出される。


この日もそうだった。

せっかくの週末を、無理やり予定を開けさせられた。

まだ、小学5年の桜華に、百合矢は、IT関連の一番小さな会社を任せ、運営させていた。

『潰したら、お前の実力が、その程度だと言うことだ』

週末は、遊ぶ事もなく、会社運営に、時間を費やしていたのだ。
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