甘い時 〜囚われた心〜
鈴音は、ニッコリと笑った。

鈴音は、どちらかというと、可愛いより、綺麗という感じの子だ。

洋風の整った顔に、茶色がかった髪。

指先のネイルも完璧だ。

身長も女の子にしては高めで、170cmはあるだろう。

「鈴音さんは、桜華様と仲がよろしいんですか?」

鈴音が桜華を呼び捨てにしたことが気になっていた。

「仲がいいか?どっちかって言うと、仲悪いわね!」

綺麗な声で、コロコロと笑う。

「小さい頃からの知り合い!幼なじみよ!親同士の勝手な約束で、婚約者にされたね!」

嫌そうに腕を組んで、眉をあげる。

「婚約者…」

そんな存在がいたのだと、なぜか戸惑う自分に違和感を覚える。

「まぁ、形だけ!か・た・ち・だ・け!!」

人差し指を立て、雛子の前でピコピコと動かした。

「鈴音さん…あっ、鈴音様、軽々しく伺ってしまって、申し訳ございません!」

深々と頭を下げる。

鈴音は桜華の婚約者。

きっと大きな会社の社長令嬢なのだろう。

桜華のメイドである雛子が、軽々しく喋れる相手ではないことを、分かってしまった。


「え!いいってば!!」

雛子の肩を押さえて、頭を上げさせる

「で、でも!」

戸惑う雛子に、優しく笑いかけた。

「いいの!私は雛子と友達になりたいんだから!」
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