甘い時 〜囚われた心〜
昔の友達
桜華の専属メイドになって2週間がたっていた。

仕事以外の世話は、すべて雛子の仕事…

朝起こすことから、夜寝るまで、一日中、桜華の側だ…

桜華の側から離してもらえないから、クラスの人とも、ちゃんと話したことがない…

「はぁー…」

トイレの鏡の前に立ち、深いため息をする。

メイドの仕事が大変すぎるわけじゃない。

ただ、一日中、桜華の側に待機していなければいけないことが、ただただ、息苦しい気がして、疲れていた…

「あらっ、神楽さん?」

声の方を見ると、同じクラスの女の子だ。

「あっ…えっと…」

ちゃんと名前の交換さえしてないから、名前が分からない。

「くすっ…宝生 鈴音(ホウショウ スズネ)よ。桜華が、あなたを離さないから、話すらできないんだもん!名前がわからなくて当たり前よ!」
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