甘い時 〜囚われた心〜
恋…
リムジンの中、雛子はなかなか泣き止まなくて、桜華は、ただ、抱き締めていた。

雛子が泣いている原因には、桜華も関わっていた。

良いと思ってしたこと。

それなのに、こんなに傷つけた…


桜華は、抱き締める腕を強める。


「すまない…」

雛子は、なぜ桜華が謝ったのか分からなくて、見上げた。

「すまない…」

涙の溢れるを、反らすことなく、見つめたまま、もう一度、謝った。


雛子は、ゆっくりと首を横に降る。

そして、また、桜華の胸に顔を埋め、震えながら泣いていた。
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