甘い時 〜囚われた心〜
春が来た。

桜は満開で、風が吹けば花びらが雪のように乱れ舞う。

桜華達は、三年になった。

当たり前のようにクラスは一緒。

もし、違っていたら強制的に同じクラスにするつもりでいたが、教師も分かっているらしく、ちゃんと同じクラスになっていた。




風が吹き、桜が舞った。

リムジンから先に降りた桜華が振り向くと、舞い散る桜が雛子を拐っていきそうで、気づけば、雛子の腕を掴んでいた。

「ん?」

急に掴まれて、首をかしげる。

「なんでもない…」

祐希奈に会ってから、変な不安が桜華を包んでいた。
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