無垢な瞳

クラス発表の四分の三は終了した。

予想通り高学年がベスト十に名前を連ねている。

「まあ、大体予想通りね」

「あと上位に食い込むのはどこかな?」

アキが渋い顔しながら腕を組んだ。

「六の四は来るはずよ」

「そこ何やるの?」

「走れメロス。正統派の演劇だって」

僕は自分たちのことでいっぱいいっぱいで他の組のリサーチなどする余裕がなかったが、さすがアキだ。

あんなに忙しい中でも敵情を事前にキャッチしていた。

「まあ、あそこも受験組が半分くらいいるから、条件としてはうちと一緒なんだけど」

「何か心配?」

「だってさ、普通に考えて、合唱よりも演劇の方が派手でしょう。有利に得点を重ねるに決まっているわ」

「へえ」

アキは目じりを上げてケンをにらんだ。

「やだあ、本当にのんきね」

アキは右足をパイプ椅子の足に絡めて、かたかた音をさせている。

そして左手の薬指の爪を噛んでいた。

アキ、かなりいらついている。

「しょうがないだろ。ここまで来たんだ」

「しかも六の四には児童会長のアツシがいるからね。学校全体の知名度も人気も高いから、うちとしてはかなり不利ね」
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