無垢な瞳
自分の中に何かが降りてきている。

僕自身の目からは見えなくても、この光景ははっきり見える。

全てから解放されたときに起こるのだろう、そう思っていた。




そうか、僕は今解放されたんだ。

コウのお母さん、やっとわかったような気がするよ。

僕は自分自身を受け入れて、前に進める。

今の僕が僕のすべてなんだよね。




「だから言わせてくれ。みんな、ありがとう」

一瞬ざわついた。

「今、ケンの周りが光ったように見えなかった?」

「気のせいじゃないよね」

気のせいじゃない。

ケンがコウの周りに光を見たのと同じように、今六の一のみんながケンの周りに光を見たのだった。




アキは一人ケンを祝福していた。

ケン……あなたの周りに光の粉が見えるよ。

きれい。

本当にきれい。

ケン、あなたは幸せにならなきゃいけないんだよ。

ううん、大丈夫。

あなたなら幸せになれる。
< 137 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop