無垢な瞳

アキは余韻に浸っていた。

この幸せな満たされた気持ちにいつまでも浸っていたかった。



「あれ、ケンは?」

ユウキの声で我に帰った。

教室に戻ったが、ケンの姿はなかった。

「そういえば、芝山が血相変えて体育館に来たかと思ったら、ケンを連れて出て行ったの、俺見たよ」



胸騒ぎがした。

何かとても嫌なことが起こったような‥‥。



アキは自分の席に座ったまま、ケンのいない教室で思いを巡らせていた。



「ケンと喜びを分かち合いたかったのによー!」

「そうだよな、主役がいなきゃ話にならないし」

「ていうか、芝山がいなかったら、どうすんの、うちら?」

教室はにわかにざわめきたった。
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