無垢な瞳
「なんか弱気って言うか‥‥自信がないんだ」

「コウのことで?」

僕は黙ってうなずいた。

アキはしばらく考えていたようだが、はっきり言い放った。

「ユウキが言ったじゃない。楽しもうって。成功させようとか思っちゃダメだよ。ただ楽しんでそのときを過ごせばいいんだって」

アキは僕の背中をぽんと叩いた。

「しっかりしろよ!」

「‥‥?」

「何よ、何か言いたげな顔ね」

アキは鼻の穴がひくひくしていた。

クラス発表のことがあってから、アキとよくつるむようになって気づいたのだが、アキは感情が高ぶると鼻の穴がそうなる傾向があった。

「女は強いって言うけど‥‥。アキは強いよ。俺負けそう」
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