無垢な瞳
音楽室での練習に少しずつ人数を増やしながら、コウを徐々に慣れさせることにした。

女、男、女、男‥‥と一人ずつ朝夕の練習で入れていけば、二十日で全員が音楽室に入って練習ができるという計算だ。

土日が休みだから、順調に行って1ヶ月で全体練習に入ることになる。

「あと一ヶ月半か‥‥」

アキが落ち着かなさそうに、机を指でとんとん叩いている。

「うん」

もう十月も末だというのに、今日は暑い位の日差しだ。

「ちょっと、ケン。なんか心ここにあらずって感じじゃない?」

「ああ、ごめん」

アキの言うとおりだった。

コウのあの一件から僕はやたら神経質になっていた。

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