無声な私。無表情の君。
次にファイルの中から、あの紙を取り出した。
そう、入部届。
氏名、学年、クラス、性別、住所、保険の希望の有無……。
とにかくいっぱい書いた。
親の名前と印は自分で書き押した。
最後に部員とマネージャーの欄のマネージャーを丸で囲んでおしまい。
あとは先生に提出するだけ。

まだ全然実感してないけど、いよいよマネージャーになれる。
これで康介の力になれるよね?私。
初めての事が多過ぎて皆についていけなくなるかもしれない。
でも私、一生懸命頑張るから。
精一杯応援するから。
康介、見ててね。
こんな私で良ければ見ててね。

ベットにダイブする。
今日は部屋着のまま寝よ…。
睡魔が襲ってきた頃にはもう明日の事を考えながら意識が無くなるか、無くならないかの間を行ったり来たりしていた。

あぁ、早く会いたいよ。康介。

そっと瞼を閉じた時にはもう眠っていた。

その日は夢を見た。
私と康介がただ話しているだけ。
久々に聞いた自分の声に少しだけ変な気持ちになった。
声が欲しい。
声を取り戻したい。
かなりの欲望が出てきた。
しかし叶うはずもない願い。
それなら…
康介が欲しい…。
こんな事は思っちゃあダメなんですか?

その後は私から離れていく康介を私はただじっと見つめているだけだった。
足が動かなかったのは何故?
それはね、康介の身体がね……。
ううん、やめておこう。

夢は夢。現実は現実。
そう信じておきたかった。
この夢がまさか正夢になるなんて……。
夢なんて早々見るものじゃないね。
未来を知る為に見たわけじゃない。
私たちの明るい未来を夢見たかった。

ねぇ、康介
今日も昨日も明日も夢でも
私は貴方を愛しています_____




第2章 end

















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