冷血上司の恋愛論
それが何なのか俺も探りながら質問を繰り返す。


「あの、今日は大まかな流れだけの予定じゃ?」


「はい。これも大まかな流れのうちの一つですが、不都合でもありますか?」


「あ、いえ。不都合ってほどではないのですが、店の裏のことは俺でも決めれるが表、ホールのことは俺の一存ってわけにはいかないっていうか何ていうか」


チラリと藤井を見てから視線をさ迷わせた田所に気づいた俺は、なんとなくだが田所を理解した。


「今日、全てを決めることはしません。ある程度、お話しを聞いた上で具体的な予算や施工についてお話しをさせて頂くことになるので。あくまでも、これは大まかな流れを作る第一歩なので、難しく考えなくても大丈夫ですよ」


俺の説明でホッとした顔をした後、田所は、昔からあったのだろう店の柱時計に目をやった。


「何か時間が気になりますか?この後、予定があるのであれば、ホールの件もありますし今日はこちらのヒアリングシートを次回までの宿題という形にして失礼しますが」
< 23 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop