冷血上司の恋愛論
俺の言葉に、周りの女子社員は、鬼だとか冷血だとか、こそこそと話しているが丸聞こえ。


御愁傷様という視線まで向けられて、藤井がキョトンとしている。


それはそれで俺のツボだったりする。


「そうだな。それくらいなら」


部長の後押しで、藤井は電話をかけていた。


ククッ!絶対、面白いものが見えるぞ!


こみ上げてくる笑いを堪えていると、電話中の藤井と目があった。


ヤベー、藤井に俺の密かな楽しみがバレてしまう。


おもむろに背中を見せて耳だけを傾けた。


当然、俺の周りの連中皆、耳を傾けていると思う。


「すいません、本当に。歓迎会になってしまったので」


案の定、女共は、歳上?とかまだカレシじゃないっぽいとか噂している。


これだけ大きな声だと、電話の相手にも絶対聞こえているだろ!女のこういうところが苦手だ。


「うん」と何度か相槌をうった藤井が、今度は部長に目を向けた。
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