冷血上司の恋愛論
「あの日ですか?」


「そう。俺とお前が一緒に飲み明かしたあの日な」


そう言われると、あの日に専務の連絡先を知り、今日に繋がっているのも何かの縁だろうか。


あの日は、丁度、藤井と一夜を共にしてからすぐのこと。


強引なクライアントの接待で渋々ついていった先のシガーバー。専務が上手くクライアントに口を利き帰した後、二人で飲んだ。


専務と俺の価値観が合致して意気投合し、語り明かした。


「お持ち帰りしていーよ。俺、まだ、仕事中だしね」


「襲わない自信ないですよ」


「寝込み襲う趣味はないって言ってなかったか?まあ、万利乃が、合意なら別にいいけどよ。朝には家に帰して着替えさせてやれよ。じゃないと、俺が疑われる」


そりゃ、昨日の服のまま出社したら、あんな風に電話してたんだ、何を言っても勘違いされるだろうよ。


「えらく寛大だけど、専務と女を共有する趣味はないですよ」


「俺の女じゃねぇよ!……って言って欲しいんだろ」


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