冷血上司の恋愛論
仕事中と言いながら、後ろから甘ったるい女の声が聞こえたことは、藤井には、言えない。
ったく、節操なしの馬鹿専務。
だが、スヤスヤ眠る藤井を見るとにやける顔を押さえきれないでいた。
「お客さん、どちらまで?」
頃合いを見計らった運転手に、自宅の住所を告げた。
藤井が専務のものかと思っていたが、どうやら違うらしい。わざわざ電話して狙っていると奪うつもりだと言わなくてもよかったわけだ。筒抜け気持ちに気恥ずかしさが少し。残りは、想いを加速させることに何の躊躇いもなくなり、覚悟が出来た。
俺自身の、社内恋愛の覚悟――…
立場とか歳の差とかそんなものに動じない確固たる覚悟が。
ったく、節操なしの馬鹿専務。
だが、スヤスヤ眠る藤井を見るとにやける顔を押さえきれないでいた。
「お客さん、どちらまで?」
頃合いを見計らった運転手に、自宅の住所を告げた。
藤井が専務のものかと思っていたが、どうやら違うらしい。わざわざ電話して狙っていると奪うつもりだと言わなくてもよかったわけだ。筒抜け気持ちに気恥ずかしさが少し。残りは、想いを加速させることに何の躊躇いもなくなり、覚悟が出来た。
俺自身の、社内恋愛の覚悟――…
立場とか歳の差とかそんなものに動じない確固たる覚悟が。

