ぼくたちはあいをしらない
「えー、ちょっとだけでもダメ?」

 ポニーテールの女の子の問いに百寿は即答した。

「ダメだ」

「じゃ、こうしよう!
 達雄を半分殴ってもう半分は、茂君を殴るってことで!」

 茂は、殴るって言葉に怯える。
 それを察した百寿が答える。

「ダメだ。
 茂の顔を見てみろ、どんな表情をしている?」

「怯えているね。
 冗談なのに」

 ポニーテールの女の子は、静かに笑う。

「茂は、いじめられっこだ。
 ずっとイジメられえてきた。
 だから殴られるとかそういうのに敏感だ。
 なのでお前らには、特命を命じる」

「特命?」

 百寿の言葉に、達雄とその他の女子が胸を踊らす。

「茂をいじめっこから護ることだ」

「護衛ね?」

 ポニーテールの女子がそう言うと百寿は頷いた。

「とりあえず、紹介しよう。
 このポニーテールの女の子の名前は、黄昏 みゆき。
 そして、ロングヘアーのおとなしそうなのが源 静香だ」

「みゆきって呼んでね」

 ポニーテールの女の子が、そう言ってニッコリと笑う。
 するとロングヘアーの女の子も静かに頭を下げる。

「私も静香でいいです」

 みゆきと静香が、そう言って笑うが茂は笑えなかった。
 今までの経験上、仲良くなれるとかありえなかったから……

「よろしくな」

 達雄が、そう言って手を出しだすと茂はビクリと体を震わせる。

「なにに怯えている?」

 達雄の問いに茂は、さらに怯える。
 自分がなにに怯えてるのかなにに怯えるのか……
 それは、自分でもわからないからだ……
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