ぼくたちはあいをしらない
「ひとーつ、ふたーつ、みっつ、よっつ、いつーつ」

 男がゆっくりと数を数える。
 数を数えるたびに、その場にいた女性たちが次々と霧に包まれ姿を消していく……

「今日も大量!」

 男が、そう嬉しそうに笑う。

「次に捕まるのは、お前だ!
 南野 灰児!」

 百寿が、そう言って銃弾をはなる。
 銃弾は、灰児に当たるものの霧のような灰児の体には通じなかった。

「……お前誰だ?」

 灰児が百寿を睨む。

「誰だと思う?
 答えは聞けば返ってくると思っていたら大間違いだぞ」

 百寿が、そう言って再び銃を構える。

「俺の女狩りを邪魔する奴は生かしておけねぇな!
 お前の目の前でお前の大事な女を犯してやろうか?ああん?」

「生憎そんな女はいない」

「さぁ?それはどうかな?」

 灰児は、そう言って体を霧のように変える。
 そして、そのまま百寿の背後に回る。
 百寿は、ゆっくりと体を煙状に変える。

「霧使い灰児……
 霧対煙のどちらが強いか勝負といこうか」

 百寿と灰児の戦いが始まる。


 ――304号室

「ゆかり、見つけたぞ!」

 ナイフを持った小十郎が病室に現れる。

「どうしてここが……?」

 南が呟くと小十郎が小さく笑う。

「親切な看護婦に教えてもらった」

「そんな……」

「ナイフを突き出せばどんな女もイチコロだ。
 さぁ、ゆかり。
 俺と一緒に子どもを育てよう」

 小十郎がニッコリと笑う。

「イヤ……」

 ゆかりが涙目で首を横に振る。
 茂は、心のなかで念じた。

  「勝也助けて!」

 すると勝也が答える。

  「わかった。
   茂!交代だ」

  「うん!」

  茂の中の闇が広がりふたりは入れ替わった。

「お前、雰囲気変わったな?」

 小十郎が、克也の方を見る。

「まぁ、もう1人の俺登場ってところかな」

「どちらにせよ、ガキは殺す。
 ゆかりは、俺のモノでもうひとりの女は灰児さんにプレゼントしよう」

 小十郎が、そう言って勝也に向かってナイフを投げる。
 勝也は、そのナイフを避ける。
 小十郎はナイフをすぐに手元に引き寄せると再びナイフを勝也に向かって投げた。
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