嘘恋

鳴り出す携帯





鳥の声と、太陽の光で目がさめる。







…ー朝だ。







ゆっくり寝返りを打って、隣で寝ている彼を見つめる。








そう。ここは、彼の家。








あたし達は昨日





一つになったんだ。








あたしに触れるシオンの手が優しすぎて涙が出たの。







まだ、少し抵抗があったあたしを見て彼はムリすんなと言ってくれた。






でも、あたしが言い出したことだから。





はやく…彼を感じたかったの。






そんなあたしを見たシオンの




…あの時の不安げな顔を、きっとあたしは忘れない。










そして、あたしは彼に身を委ねた。





愛し合って、見つめあった。









そっと彼の頬に触れる。







「…好きだよ」








シオンが好き。




…あたしを好きでいてくれる彼がスキ



あたしを見つめてくれる彼がスキ






あなたの手は魔法の手。


あたしは、きっとあなたが必要です。









…出会ったあの日




あたしは運命に導かれていたのかな。








たまたま周りを見て、たまたまあなたを見かけて、話して。







きっと、神様があたしに新しい恋を探してくれたのかもしれない。







ぎゅっ。





え…ー。






「おはよ」








あたしの手を握りしめて、なんだか嬉しそうに笑うシオン。








「…もしかして起きてたの?」








「さぁ?」







うそ…。

じゃあ好きって言ったの聞かれてたってこと!?







「もー!ばかっ」








「もっかい言って」








「はー?」







「言えって」








な…なに真剣な顔しちゃって。







「ふふっ。言わないよーだ!」








笑って背中を向けると、ふわっと後ろから抱きしめられた。









「シオン?」








ぎゅー。




どんどん力が入っていく腕とあたしのお腹。








ちょ…っ。






「苦しい、苦しいって!」







微笑むシオンと一緒に笑いあう。






…幸せだよ、あたしは。







「…よかった」







「え?」


< 102 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop