嘘恋

優しさに触れる






あれから一年が経った。




もうすぐあたしも大学を卒業する。







子供好きだし、あの海で成瀬と夢を語り合ったとき







保育士になろうかなと思ったから
とりあえず、なってみようと思うんだ。






だけど現実はなかなかうまくいかなくて



とりあえず今はバイトしながら、どこか入れそうな就職先をさがしてるところだ。







「かーな。お前また寝坊?」





「あはは!ごめんごめん」






「ったく。せっかくメシ行こうって誘ってやったのに」






「だからごめんてばー」









シオンとは、何事もなかったかのように今じゃ元どおりだ。





こんなふうに、ご飯食べに行ったりとか、遊びに行ったりできる仲に戻れたのはシオンのおかげ。










あの日





シオンと別れて、成瀬を追った日から

初めて大学でシオンと顔を合わせた時




どんなふうに接すればいいのか分からずお互い目が合っても逸らしていた。







これが当たり前のこと。





あたしは彼にとって、悪く思われていてもおかしくないんだ。





あたしはそれだけ、彼の心を傷つけたから。










だけどそんなある日




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