嘘恋






力なくゆっくり歩いてると後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえて振り向いた








「…あ」










「咲夜じゃん!こんなところでなにしてんの?」









…ミカだ。






彼女は寒そうにマフラーで口を隠しながら俺に駆け寄ってきた。








「…おー!ミカじゃんっ。久しぶりだなぁ」








「なんで学校来ないの?香奈、心配してるよ?」








「…うん」








やっぱり、そうだよな。






「連絡もしてくれないって、学校でも辛そうなの」









「だよな。俺さ、いろいろ家のことで大変なんだよ」










「それでも、連絡くらいしてあげて?彼氏でしょ?」









『彼氏』







…そうだよな。


彼氏がこんなとこでなにしてんだよ。






「…そうだな。後でしてみるよ」









「うん。家のことがんばれ!学校にも来てねー!」








走り去るミカに手を振る。





一方的に避けてたって仕方ないよな。






また歩き出して家に向かう。





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