スセリの花冠
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「マーザさん?マーザさんどこ?」

愛世はマーザの名を呼んだ。

マーザさんに会いたい。早く顔が見たい。

「マーザはいない。宴へ行かせたんだ」

「宴?」

「ああ。君を祝福する宴だ」

須勢理姫によって願いが叶えられてすぐ、城内ではあちらこちらで皆が祝盃をあげていた。

マーザも城内で働く友人達とこの素晴らしい奇跡を祝いたいと考え、ディアランにその旨を申し出たのだった。

「そう……じゃあ会えるのは明日になりそうね」

「どうかな。帰ってくるかな。取り敢えず三日間の休暇を与えたんだ」

「三日間も?」

「ああ。たまには羽を伸ばしてもらいたいから」

「……そう」

仕方がない。

ふと眼を上げると、鎧を脱ぎノースリーブ一枚をひっかけたディアランがこちらを見ていた。

逞しい両腕にトクンと鼓動が跳ねた時、ディアランの優しい声が響く。

「アイセ」

「……はい」

ランプに照らされた精悍な頬が僅かに傾き、赤茶色の瞳が甘く揺れる。
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