スセリの花冠
愛世はそんなディアランに眼を奪われたまま、口を開いた。

「ディアラン……私を助けてくれてありがとう。本当にありがとう」

ディアランがゆっくりと愛世に近づく。

「俺だけの願いじゃない。だが」

そこまで言うとディアランは、逞しい腕を上げて愛世の後頭部に回した。

それから優しく引き寄せると、更に続けた。

「これからは……俺だけのアイセでいてくれないか」

身を起こした愛世の瞳に、恐いほど真剣なディアランが映る。

真っ直ぐな眼差しと、彼の熱い身体。

「君を凄く大切にするよ。この先もずっと守ると誓う。だから俺との未来を考えてくれないか」

好きになった人にこんな言葉をもらえるなんて、少し前の私には考えられなかった。

嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。

でも私も…私も伝えたい。

この胸の想いをちゃんとディアランに言いたい。

愛世は涙で滲むディアランを見上げると、しっかりとした口調で言った。

「ディアラン……私、あなたが好きです。私だってあなたを守りたいしあなたと生きていきたい」

アイセ…!

全身が痺れる感覚と、想いが溢れる胸が熱い。

ディアランは愛世を抱き締めると少し笑った。

「君はまた…俺を守ってくれるの?」
< 167 / 168 >

この作品をシェア

pagetop