スセリの花冠

「……」

スヤスヤと眠る顔がなんともあどけなく、それでいて綺麗だ。

ディアランは一生懸命話しかけてくる部下などそっちのけで女を見つめた。

この眼を開けるとどんな顔なのか。

眼を閉じて尚愛くるしいのに、開けるとどれほど可愛らしいのか…。

その時だった。

愛世は衝撃を感じ、意識を取り戻した。

……痛い……何……？

誰かが自分を乱暴に起こし、身体の向きを変えた感じがする。

それから……首がグキッとなって……痛い。

愛世は苦痛に眉を寄せ、バチッと眼を開けた。

……嘘。

「……きゃあ、」

至近距離から端整な顔立ちの男が自分を覗き込んでいるのが見えて、愛世は思わず叫んだ。

「な、なんですかっ？！」

一方ディアランは、女が眼を開けたかと思うと突然叫び出したので、焦ってその口を塞いだ。

片手で口を塞がれているにも関わらず、女は涙眼でジタバタと暴れまくる。

「ん、んんーっ！」

煩く抵抗するものの……大きく見開かれた瞳は星の輝く夜空のような美しさだ。

ディアランは、益々胸が高鳴るのを感じて女の身体を抱え直した。

「静かに。大丈夫だから」