彼氏と思っていいですか?
2.女子はアイスだろ
お昼の用意がいるくらいだから、二学期初日から午後まで学校に拘束された。

といっても授業ではなくロングホームルームで、今月下旬の体育祭の参加種目と係を決めることになっていた。
六クラスある学年ごとの縦割りのチームになるのだそうだ。


一年生の私たちにとっては初めての体育祭だ。
部活の先輩からは『盛り上がるよ〜』と言われているけれど、いまいちぴんとこない。


長引くのが嫌だから、と気を回した学級委員が昼休み中に黒板に種目を書き出していた。
ひとり一種目は出なくてはならないので、参加したい競技の空欄に必ずひとつは自分で名前を書き入れるようにとのことだった。

そうなると、順当に決まる種目もあればそうでもない種目もあるわけで。


「次、むかで競争の希望者はまえに出てください」

わたしは席の離れている友達の香織(かおり)ちゃんと互いに目配せをして、やむなく学級委員の脇に進みでた。


むかで競争じゃないとだめ、というわけではなかった。朝陽くんに漏らしたのは本音で、大玉送りでも綱引きでも団体種目ならなんでもよかった。


みんなが思いつくような選手枠の多い種目ではなく、逆に人数の少ないほうを選んだほうが希望通りにいくのでは、という私の根拠に乏しい裏読みが見事にはずれた格好だった。
かっこ悪。というか。


「ごめんね、なんかこんなことになって」

「ううん」


お昼を食べながら一緒に参加する種目を相談した香織ちゃんと教卓のそばで短いやりとりを交わす。
人数枠二名に対し、希望者は女子四名。ふたりがほかにまわらないといけない。

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