「お前は俺のモノ」【完結】
私を冷たい瞳で見下ろした後、無言のまま踵を返して教室を出て行く。
痛いぐらいの視線を感じながら、その後ろを慌てて付いて行った。


陽子、ごめん。

まさか、庇ってくれるだなんて思わなかったよ。


…やっぱりあれは陽子じゃなかったんだ。
私の勘違いだったんだ。


教室を出てからも彼の足は止まらない。
息を切らしながら、それに私は付いて行く。


足の長さが違うから、早歩きされるとこっちは更に急がないと追いつかないんだよな。


人気がなくなった場所に来て、やっと彼が立ち止まった。
やっと止まれるとホッとしたのも束の間。


彼は私の腕を掴むと、そのまま壁へと押し付ける。
その衝撃で背中が痛い。


ギリっと彼の手に力が入って行く。
手首が締め付けられる痛みで、思わず顔を歪めた。
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