「お前は俺のモノ」【完結】
「た、多恵」
「おはよ。遅刻しちゃった」
「…目」
「え」
「………いや、後で聞く。おはよ、ノート見る?」
「うん」
ニコっと笑う陽子に釣られて私も微笑んだ。
今、触れない様にしてくれてるだけでもありがたかった。
私が来た事で、チラチラとこっちに視線を送る人もいる。
そりゃそうか。
昨日、あんだけド派手な退場してるんだから。
見ないでもらいたいな。
私はもう、自由なのに。
長い講義を終えた後、レポートを提出すると私は陽子と共に中庭へと向かう。
なるべく人がいない所に座ると、陽子がカバンから何かを取り出した。
「はい、甘いの。チョコ」
陽子はアーモンドチョコのケースから一つを私に差し出す。
少し驚いたけど、私はそれを口に含んだ。