「お前は俺のモノ」【完結】
葵兄に連絡しなきゃって思った。

毎回一緒に会場まで行ってたし。


でも、どうしてもあの携帯に他の男の人の名前を入れられなかったんだ。

公衆電話からまさかかけるわけにはいかないし。
だから、遅れない様にって早めに出て待つ事にした。


「何もなかったからいいけど…突然の変更とかあったら困るだろ?」

「うん、ごめん…」

「何で番号教えられないの」

「…それは…」

「はいはい、ストーーーップ」


不穏な空気を断ち切る様に、雅人さんが間に割って入った。


「もう、本番前に痴話喧嘩か?
葵、多恵ちゃんにも色々あるんだからわかってやろうよ。
まあ、あれだ。確かに連絡取れないのは困るから…。
それだけはどうにかして、多恵ちゃん」

「…はい」

「……」


納得行ってない顔をしている葵兄。
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