「お前は俺のモノ」【完結】
「お前は俺のモノだ。俺の目の届くとこにしか置いておかない」

「……」

「もし、逃げたいなら」


ゆっくりと瞼を上げると、冷たい瞳の彼と目が合う。
それに、一度心臓が跳ねた。

温度のない瞳の彼の口から出た言葉。


「俺を殺してから行け」


どくっと、心臓が鳴る。
背中にじわっと変な汗が滲み出た。


この、言葉はきっと本心で言ってるんだ。


どっちにしろ、私は彼がいないと生活なんて出来ない。

逃げるつもりはない。


あの家にだって帰れない。

私には、彼しかいない。


目の前にいる、彼しか。


恐怖で震える私の肩に手を落とすと、彼は首元へと顔を埋めた。


ちくっとする痛みがまた走る。
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