コドモ以上、オトナ未満。


「え? ……ああ、知らないかも。特に言ってないから」

「えー! ダメだよ! たぶん、真咲くんもお祝いしたいはずだもん」


……そっか。真咲なら、きっとそうだよね。

でも、自分から言うのってなんか、お祝いしてって催促してるみたいに聞こえないかな……

あたしが悩んでいると、カナコがちらっと廊下の方に目をやった。


「あ、ちょうど真咲くん買い出しから帰ってきたみたい。ココちゃん、今だよ!」

「え、いいよ、そんな急がなくても……」

「いいからいいから」


背中を押されて廊下に出ると、強引に真咲と向き合わされる。


「ココ、どしたの?」

「え、あの……」


……かなり今さらだけど、真咲って、カッコいいな。

改めてそんなことを思ったら、胸が高鳴ってなにを話すのか忘れてしまったあたし。

すると、何も言わないあたしを不思議に思ったらしい真咲が、先に口を開く。


「色塗りの方はどう?」

「うん……まあまあ。真咲は、いいの買えた?」

「ん、バッチリ」


……会話終了。

えーとえーと、そうだ、あたしの誕生日。来週なんだって、言うんだよね。


「あのさ、真咲」

「なに?」

「来週……の、水曜日。あたし、誕生日……なんだよね」


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