コドモ以上、オトナ未満。


「先生には関係ありません」

「ええ、もちろんそれはわかってます。でも……」


なんで、もっとハッキリ教えてくれないんだろう。

その“大事な話”とやらを、先生は知ってるの?


「このままでは、真咲くんがかわいそうです。だから、彼がもしきみに何か伝えようとしていたら……どうか、話だけでも聞いてあげて下さい」


……真咲が、かわいそう?


「……先生。そんな曖昧な言い方やめて、ちゃんと教えてください」

「僕も、言ってしまいたいんですけど……真咲くんは、自分の口から言うと決めているようなので」


じゃあなんで、予告みたいなことだけ言って、あたしを悩ませるのよ。

……大きらいになったはずの真咲のこと、いやでも気になっちゃうじゃん。


消化不良を起こしたように、もやもやとくすぶる胸の内。

あたしがそれと戦いながらうつむいていると、先生が言った。


「すいません……生徒同士のことに、ちょっと口を挟みすぎました。僕の悪い癖なんです。それでは、おやすみなさい」


今さら謝られても、もう遅いよ……

真咲はいったい、あたしに何を伝えようとしてるの?

それが気になって、今夜は眠れそうにない。


「……おやすみなさい」


そう返事をして、車に乗り込んだ先生を見送り終わっても。

あたしはしばらく外に立ったまま、ぼうっと夜空を眺めていた。

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