コドモ以上、オトナ未満。
「前に話したことあると思うけど、予想通りうちの両親離婚することになってさ。
……俺、母親の方についてくことにしたんだ」
「……それって。場所は、どこなの?」
「北海道」
北海、道……
そこまでどれくらいの距離があるのか、あたしははっきり知らないけど。
真咲がそこに行ってしまえば、簡単には会えなくなるってことはわかる。
しかも、こっちにいるのは学祭までなんて……
もう、あと一カ月ないじゃん。
「だから……さ。ココのこと、キライになったとかじゃないんだけど……付き合ったまま、お別れって、ちょっとツラいかなと思って」
「……だから、普通の友達?」
「そ。その方がお互い、サラッと別れられるかなって」
……サラッと、なんて。無理だよ。
ツラいのは、ちょっとなんかじゃないよ。
そう思ってるのは、あたしだけなの?
真咲は、口で言うようにそんな簡単に、友達に戻れるの……?
「あたしが……あの日、ちゃんと真咲の話を聞いてたら……真咲は、違う選択をした?」
「……どーかな。関係ないかも。ほら、男って基本みんなマザコンだし」
「茶化さないでよ……っ。もしそうなら、あたし、あの日に戻って自分のこと引っぱたきたいよ。真咲が北海道に行っちゃってもいいのかって、怒るよ……」
「ココ……」
ここであたしがごねたって、真咲が転校しちゃうことは変わらない。
そんなことは百も承知だけど、くやしくてたまらない。
アンタ、真咲を失ってもいいのかって。
あの日のばかなあたしに、言い聞かせてやりたいよ……
その想いをぶつける場所がなくて、ぎゅっと噛みしめた唇が、痛い。