コドモ以上、オトナ未満。

見えないメッセージ



学祭を一週間後に控えたころ。

真咲の転校のことが、恩田先生の口からみんなに伝えられた。

急なことだし当然クラス中は驚き、あたしの方を見て何か言っている人たちもいた。


あたしは素知らぬ顔でその視線を受け流していたけど、休み時間になって廊下に出るとすぐにカナコに捕まった。


「ココちゃん……知ってたの? 真咲くんのこと」

「うん……いちおうね。本人から聞いて」

「本人から……そっか。仲直りしたんだもんね。でも、そしたら余計つらいよね……?」


心配そうなカナコに、あたしは曖昧な笑みでこう返す。


「……仲直りは、したけど。あたしたち、もうそういう関係じゃないから」

「え……? だって、最近二人が元通り話してるから、私はてっきり」

「まあ、話くらいはね。でも、前みたいにベタベタしてないでしょ?」

「あ……それは確かに」


友達に戻ったんだ。ふつーの。クラスメイトに。

あたしがそう言うと、カナコは何度か瞬きをしてから、表情を険しくした。


「どうして……?」

「……付き合ったままでお別れなんて、つらいからって」

「そんな……」

まるで自分のことのように、寂しげな顔をしたカナコ。

そういう反応をすると思ったから、今まであえて話していなかったんだ。

第三者にそんな顔されると、あたしも自分がすごく可哀想なヤツに思えてきちゃうから。


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