コドモ以上、オトナ未満。


カナコとそんな会話をした翌日、ようやく完成した壁画の大きな板を、教室の一番後ろの壁に立て掛ける作業が行われた。

それは主に男子がメインで、あたしたち女子が「もっと右!」だとか「曲がってる!」とか、ああだこうだと言っている間に、結構な時間がかかってしまったけれど。



「おお、素晴らしいです」



教卓のところに立ってそれを眺めた恩田先生が、感嘆の声を上げた。

素晴らしいだなんてちょっとおおげさ……と思わなくもないけど。

間近で実際に絵を描いていたときより、こうして離れて見ると、結構、完成度が高いってわかる。


「俺ら、結構いい仕事したっしょ、先生」


そう、得意げに言ったのは真咲だ。


「ええ、みんなよく頑張りましたね。当日、これを見た人たちの反応が楽しみです」


先生ががそう言ってあたしたちを褒めれば、みんなまんざらでもなさそうに微笑み合う。

それは、実行委員として、みんなの前に立つなんて慣れない経験をしたあたしも同じ。

最初は、自分がそんなことするなんてあり得ないって思ったし。
実際準備が始まっても、嫌々な気持ちを隠しきれずに仕事をしていた。

でも……こうして自分たちの手で作ったものがカタチになるのは、思ったよりずっと感動することだった。



「なんか、ずっと見てたいかも、これ」



ほとんどのクラスメイトが帰ってしまったあとの教室で、あたしは隣で同じく壁画を見つめるカナコに言った。

カナコの元の絵がよかったのはもちろんだけど、みんなで思い思いに色を塗ったから、同じ色の部分でも少しずつ違う……

そこがまた、いい味になっていた。


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