コドモ以上、オトナ未満。
面と向かってのサヨナラはしたくないから、遠くから見送ろうと思ってたのに。
どうしよう……
あたしがここにいることに、真咲が気付いてくれた。
そのことが、こんなに……
涙が出そうなくらい、うれしいなんて。
「ま、さき……っ!」
あたしは半分涙声で、階段の下までやってきた彼の名を呼んだ。
肩で息をしながらあたしを見つめる真咲は、呼吸を整えながら言う。
「そんなトコにいたのか……すげぇ、探した……」
……探した? あたしのことを?
「なんで……?」
「ココに、言いたいこと、あるから……」
そう言った真咲は、なぜか肩から下げてる自分のバッグをがさがさとあさり出す。
そしてあたしの方を見上げると、そこから出した何かを持って、ボールを投げる時みたいにふりかぶった。
「ココ、受け取って!」
「え? 投げるの?……そんな急に……ちょっ!」
空中に手を伸ばして、ちょうど目の高さまできた小さな箱を、あたしはなんとか受け取ることに成功した。
「なに……? これ」
「……開けてみて」
言われた通りにリボンを解き、パコ、と音を立ててふたを開けた。
これは……?
きらきら光るピンクゴールドのチェーン。
その先には、同じピンクゴールドの、かわいい鍵の形がついている。