コドモ以上、オトナ未満。
番外編

*ココのHoney



心矢と八年ぶりの再会を果たしてから、初めての夏がやってきた。

高校生の頃、一緒に花火大会に行ったことがあったけれど、今年はお互いその日に都合が合わなくて、代わりに海にやってきた。

 
「あー、眩しい! 暑ちぃ! つか、人多っ」

「……うん。暑いね……」


砂浜に仁王立ちする水着姿の心矢は、周りをキョロキョロ見渡して、うんざりしたような表情。

そしてあたしも……正直、場所のチョイスを失敗したかなぁなんて思っていた。

だって、当然のことながら、仕事上日に焼けるのはご法度。

せっかく海に来たっていうのに、水着の上にパーカーを羽織ったまま、パラソルの下で体育座りしているんだもの……全然楽しくない。

心矢とあたしの休みが重ることなんてほとんどないから、今日は貴重な休日なのに……こんな気持ちのままじゃ、せっかくのデートがもったいない。


「……あたし、かき氷買ってくるよ。心矢は少し泳いで来たら?」


気分転換にと、お財布を持って立ち上がると、振り向いた心矢が少し不安げに言う。


「……俺行こうか?」

「ううん、平気。ていうかさっきからずっと立ってるのってさ、本当は水の方行きたいからでしょ?」

「あちゃー、ばれてた?」

「ばればれ。……あたしに遠慮しないで、ちょっと涼んできな?」


心矢は少し申し訳なさそうにしながらも、私に手を振って一目散に砂浜を駆けて行った。

……ふふ、コドモみたい。

あれでも人の命を救う、お医者さんなんだよね……

普段の大人っぽい心矢と、波打ち際ではしゃぐ無邪気な彼とのギャップにきゅんとしながら、あたしはかき氷を調達しに海の家の方へ向かった。



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