コドモ以上、オトナ未満。
青島さんの言葉を全く素直に受け取ろうとせず黙っていると、突然あたしの頭に、ふわりとあたたかい感触が。
「おめでとー。ココに女友達第一号できた」
「ま、真咲……っ」
頭に乗ってるのは、真咲のおっきな手だ。
あたしたちのやり取りを見ていたらしい彼は、なぜかとても嬉しそう。
「青島さん……だっけ?」
「は、はい」
「ココは、超素直じゃないしヒネくれてるけど、本当はすっごくいい子だから、よろしくね」
あたしの頭をポンポン叩きながら、真咲が青島さんに微笑みかける。
ちょっと、勝手によろしくしないでよ!
「こ、こちらこそ! あ、私のことはカナコでいいからね、ココちゃん!」
青島さん――カナコが、満面の笑みで言った。
どうやらおとなしめだと思っていたのは、あたしの思い込みだったらしい。
でも……悪い気は、しなかった。
「……うん。よろしく」
あたしは別に一人でもトイレに行けるし、
クラスの誰かが髪を切ってきただけで「かわいー!」と過剰に褒めあうようなことはしたくないけど……
だからと言って、友達が欲しくなかったわけではないんだ。
そんな自分の本心に今さら気が付いて、ひとりちょっと恥ずかしくて。
「あ、やべ。もう時間ない」
「ココちゃん、急ご!」
「いいじゃんちょっとくらい遅れたって……」
そう言いながらも二人の後に続き、走っちゃいけない廊下を走るのは、悪くない気分だった。