コドモ以上、オトナ未満。


彼女はなぜかクラスで孤立していて、けれど泣くでもなく、学校を休むでもなく、ただ受け流すように、毎日を過ごしていた。

俺は暇さえあればその横顔を見つめ、授業中も休み時間も、ぼんやりどこかを見ている視線の先に、何があるのかを探ろうとした。

そして気がつけば、恋に落ちていた。


あんなに京香さんに執着してたのが嘘みたいに、気づけばいつもココのことばっかり考えていて……

だから、実行委員の件は、恩田先生に礼を言いたいくらいだ。

そのことがきっかけでココと近づくチャンスを得られたわけだし、実際かなり親しい仲になることもできた。


ココがぼんやり見つめていたもの……その正体は、今でもさっぱりわからないままだけど。

賢人のように、ごく自然に、自分に好意を示してくれる相手でも探してたのかな。

ココ、ああ見えて寂しがり屋だしな……

だとしたら、それまで一番近くにいたのに選ばれなかった俺って、完全にココの眼中にないってことだ。

彼女にとっての俺はたぶん、ただの“似た者同士”

一緒にいて楽ではあるけど、ドキドキしたりしない存在。


つまり、この恋はまるっきり俺の一方通行。

……どこで道を間違えたんだろうな。

俺はもう、ココの隣にいちゃいけないんだろうか――。


< 68 / 211 >

この作品をシェア

pagetop