コドモ以上、オトナ未満。


さっき、言葉で“好き”と言われたのだから、真咲の気持ちは理解したつもりだったけど……

頬にあった手がするすると下にさがって背中に回され、ぎゅうっと抱き締められながらされるキスからは、言葉以上のものが伝わってくるようだった。

あたしが、それに応えられるかはわからない。

でも、いつもぽっかりあいてる心の空洞に、とくとくと、何かが注がれてく感じがする。

それはなにか、あったかくて、気持ちを穏やかにしてくれるもの。

そんなキスをくれる真咲は、あたしにとって、これからもずっと必要な人のような気がする……


しばらく経って、ゆっくりと離れて行った真咲の唇。

彼はあたしの背中に回した腕の力を少し緩めると、顔を覗き込みながら言う。


「……ココ、泣いてる?」

「……え?」


指で触れた目尻には確かに冷たいものが滲んでて、あたしはそんな自分にびっくりした。

涙が出るなんて、何年ぶりのことだろう。

しかも、別に悲しいことがあったわけじゃないのに。

もしかして、真咲のせい……?


「ゴメン、いやだったんなら謝る――」

「ち、違う! この涙は、たぶん、そういうのじゃなくて……」


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