コドモ以上、オトナ未満。


言いかけてから、“いやだった”と誤解されるのを避けようとしてる自分に気がついた。

だって……全然、いやなんかじゃなかったんだよ。

悲しいわけでもなく、いやなことをされたってわけでもなく、だからって嬉しいっていう感情とも違う。

この気持ち、言葉にするんなら、たぶん――――



「なんか……せつなくて」



潤んだままの瞳で真咲を見つめたら、真咲はほっとしたように表情をゆるめた。


「それ……ココの返事だと思っていいの?」


そしてあたしの頭を引き寄せて、自分の胸にくっつける。


「……た、ぶん」

「まだ……自信ないか」

「ごめんね……でもあたし」


好きだって、胸を張って言うことは、まだできないけど……



「真咲がいないと、だめ」



――これが、今のあたしの精一杯の告白。

真咲がいないと困るんだ。

それだけは、確かだから。


「ココ……」


もう一度、ぎゅうっと強くあたしを抱き締めた真咲。

今度はあたしからも、その広い背中にしがみついた。


カナコにも、大森にも、謝らなきゃいけないことがたくさんある。

でも、それでも、あたしは真咲のそばを離れたくない……

そんな気持ちを強く感じた、静かな夏の夜だった。


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