アイドルなんて、なりたくない<font color=
ポケットから、優衣の携帯が鳴る。

電話を取り出して

「メール?怜だ」

首を傾げながらメールを開く。

明らかに優衣の顔が引きつっていく。

優衣は携帯をしまい

「ごめん!今日帰る!」

カバンを持って急いで生徒会室から出ていく。

「ちょっ…優衣?」

千里が呼び止めようとしたが、もう遠くに行っていた。

「どうする?」

ピンチから立ち直った直紀が、全員の顔を見ながら言うと

「とにかく、予算内で収めないとならないんだから」

千里は、資料を拾いあげて

「朝から、優衣がやっていた仕事をまとめて、各部各クラスに戻すしかないでしょ?」

そして直紀を一睨みして

「特にあなたわね!」

と言い放つ。

「ええ?」

直紀が抗議の声を上げると、

「会長を怒らせたんだから、贖罪よ」

そう言って資料の束を直紀の前に置いて

「あと、追加予算不能と予算を出す時の諸注意も文書にしないと」

生徒会役員の面々は忙しくなった。
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