アイドルなんて、なりたくない<font color=
「え?」

優衣は、あんぐりと口を開けた。

静は、眉間に皺を寄せて

「何ですか!その顔は!」

不快そうに言ってから咳払いをして

「優衣、蒼龍神社の神託を忘れた訳ではないでしょう?」

優衣は頷いてから

「もちろんです。龍神の花嫁として町の気の中で身を清めると」

静は頷いて

「そうです。あなたは、いずれ龍神の花嫁となり、祭司を執り行わなくてはなりません」

「それなら…」

静は優衣の言葉を遮り

「だからと言って、町から出てはならないという事ではありません。毎日、ケガレを払えばよいだけです」

さらり、と言うが、結構難しくないか?と疑問に思う。

ハッキリ言えば、龍神町は四方を山に囲まれた田舎なのだ。

都心まで電車でも五時間はかかるし、車なんて危険極まりないドライブコースで、七・八時間は軽い。

そういう所に電車が通っているのは、一重に秋山家のお陰だろう。

秋山家は、電車が世に出てくると同時に私財のみで、電車を開通させた。

それだけ、秋山家にとって龍神町は大事という事なのだ。

噂では町の外れにある秋山家の私有地には小型飛行機が着陸したり出来る設備があり、町の真ん中に非常用のヘリポートがある。
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