白い雛鳥
うさぎのネル
-no side-
「で、リィナさんどこに向かってるんですか?」
早朝にカノンを出発して何時間たっただろうか
街から出るとモンスターが辺りを彷徨いているが、日が出ているうちはそれほど脅威的な奴には出くわさないので戦わずその間を抜けていっている
でも、わざわざ人気のないモンスターのよく出る道を通ると言うことは何か理由があるのだろうか
「勿論、街に向かってる」
「どこの街か聞きたかったんですけど……」
ガクッとため息をつくシノをフード越しから面白そうな目で見やり、歩みを止めると肩から下げている白い布袋から小さな銀の笛を取り出して彼に放り投げる
「うわっ…と、なんですか?」
「お前とほぼ同類のものがくる笛だ。吹いてみろ」
「……?」
いまいち理解が出来てないがとりあえず笛を口元へ持って行き息を吐く
ピィーーー
透き通った音色が響き渡り、シノは思わず自分で出した音に聞き入ってしまったが
その音を聞いた周辺の小さなモンスター達は何故か慄き逃げ出していく
「吹きましたけど何も起こらないですよ?モンスターが居なくなったぐらいです」
「…そうか。お前はそこにいろよ」
可笑しそうにクスッと笑いリィナもシノから距離を置く
「え?リィナさん?」
余計に分からなくなりその場でオロオロし始めるシノだったがその刹那
『はいよーーん♪そこのお兄さん退いてーーー!』