白い雛鳥



『ありがト♪ふんふん…微かにだけど闇の魔力が残ってるワ

残量が少なすぎてぼんやりとしか見えないけど、


……どこかの庭園かナ…かなり大きな…だけどかなり荒れていル

周りには沢山の悪魔族が血を流して倒れていて

この魔力を込めた者は何者かに追われていル

走りながらこれに最後の力を振り絞り、大量の魔力を込めて、真っ黒の布を被った誰かに手渡しタ

手渡された相手は右手首に2つ頭の鳥を彫ってるワ

…ごめんネ。それくらいしかわからなイ」

「充分だ。すまないな」

はぁ…と息を吐くと彼女は力が抜けたようにその場にへたり込む

私は彼女の疲れを少しでも癒すべく、風と水の魔法を組み合わせ、簡易的な水のベッドを作り上げ、そこへ寝かした

水は光ほどではないが治癒の効果がある。ここで寝ていれば多少はマシになるだろう

魔力の透視はかなり彼女の身体に負担が掛かるので出来れば使いたくなかったが、このネックレスが王家の所有物だと分かったので止むを得ず交渉したのだ

「しかし…あまり穏やかな話ではありませんでしたね」

ネルが気持ちよさそうに寝ているのを見ていると、シノが声を掛ける


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