白い雛鳥
クロンの国へ
ーシノsideー
高らかに鳴き声をあげて、空高く飛び上がったユングの乗り心地は正直最悪で
リィナさんに会えて余程嬉しかったのか一気に上昇したかと思えば下降して山の間をくぐったり一回転したりで俺は振り落とされないように必死だった
しばらくして落ち着いたのか飛び方が穏やかになり、漸く身体を起こすことが出来た
「大丈夫か犬っころ」
「これが大丈夫に見えますか?」
皮肉っぽい言い方になるのは許してほしい
気分が最高に悪くて吐きそうなんです
リィナさんは後ろを向き、青白い顔をした俺を見て苦笑する
「尾行してる奴がいたからな。今は魔法で気配を消しているから問題ない」
「え?」
思わず後ろを見たが、勿論いるはずもなく、比較的温厚な飛行系モンスター達がちらほら飛んでるくらいだった
「…気付きませんでした」
じゃああれは態と出鱈目に飛んでいたのか
「お前はまだ色々慣れてない部分があるんだ。仕方ないだろう」
「慣れてない…」
神獣に乗ることや、国から離れて旅に出ること、他にも沢山ある…
そういえば
「俺、国から出るの初めてです」
正しくは国の外側を見るのが、か
カイアからシロンまで来た時ははリィナさんにこてんぱんにやられて気絶してたし、リィナさんが国外へ行く時どんなに駄々をこねても俺はいつも留守番だったから
「でも、どうして今回は?」
今思えばすんなり付いて行けたことに疑問を覚える