白い雛鳥
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ーリィナsideー
ユングに乗っていると次第に辺りはすっかり闇に溶け込み、後ろに乗っているシノは小さく欠伸をする
クロンは悪魔族の王が統治している国で他の国と比べて治安が良くない上に、強力な魔物が辺りを彷徨いている
私とユングは夜眼が効くので問題ないが、シノは狼の癖に鳥目で全く役に立たない
私達は安全性を考え、ユングから一度降りると、ユングをクロンの施設へ預けることにした
あんなでかい神獣を連れて行けば目立って仕方ないからな
まぁ、魔法で隠す事も出来るが、魔力は使い過ぎないに越したことはない
事前にネルが連絡しておいてくれたからスムーズにことが運んだ
施設とティニエの距離は歩いて1時間程で、魔物除けの街灯が吊り下げられているこの道は、私達を含め商人や旅人が楽に進むことが出来る
だが、今は真夜中。昼間に比べ魔物が出易いのでここを通る人は殆どいない
「…今思ったんですけど、なぜわざわざ神獣を使ってクロンの国へ?」
私達の住むカノンと王都は目と鼻の先であるし
空間転移装置を使えばクロンの王都まで一瞬で着くのにという尤もな言葉にリィナは答える
「王都にある空間転移装置は使った後履歴が残る。こいつを狙っているやつがいつ嗅ぎつけてくるとも限らないからな。…まぁ、結局意味は無かったが」
何処から情報が漏れたのか分からないが早々に足がついてしまった
先程は撒いたが恐らく私達がティニエへ行く事はあちら側にバレているだろうから待ち伏せされているかもしれない
「このまま正面から行って大丈夫ですか?」
「………」
さすがの駄犬もこれには気が付いたようで私は少し先にある王都の門を見た